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諸外国の障害者雇用について

2021年3月に障害者の法定雇用率が「2.3%」に引き上げられ、2023年には計算上「2.6%」以上になると見込まれています。

(出典:久保修一著『職場にいるメンタル疾患者・発達障害者と上手に付き合う方法」)

このように障害者雇用の制度等取り巻く環境は日々変化しています。今回は影響を与えている諸外国の障害者雇用の取り組みについて知ることで、今後の展望を考えていきましょう。

諸外国の障害者の雇用制度

フランス

雇用義務制度の対象
「障害労働者」

※障害労働者とは
「身体的、知的、精神的機能または感覚機能の悪化により、
雇用を獲得し維持する可能性が現実に減退しているすべての人」

雇用率:6%
20名以上の従業員を雇用する使用者が義務を負う。

達成方法

1.雇用義務対象者を直接雇用する。

2.保護労働セクターに仕事を発注することによって、発注額に応じて雇用義務の50
  %までを充たすことができる。

  ※保護労働セクターとは
   日本での特例子会社と就労継続支援B型事業所に近い組織

3.150時間を超える研修に障害者を受け入れることによって、全被用者数の2%まで
 雇用義務のカウントに入れる。
 
ペナルティ

・被用者数 20~199人        不足人数×最低賃金時給×400
・被用者数 200~749人        不足人数×最低賃金時給×500
・被用者数 750人以上        不足人数×最低賃金時給×600
・3年以上納付金以外の方法によって雇用義務を果たしていない使用者 
 被用者数に関わらず         不足人数×最低賃金時給×1500
・雇用義務を全く果たしていない使用者 不足人数×最低賃金時給×1875

ドイツ

雇用義務制度の対象

「身体的機能、知的能力、または、精神的健康が、高い蓋然性で6ヶ月以上、年齢
からみて典型的な状態から逸脱し、社会生活への参加が阻害されている場合」

雇用率
5%
20名以上の従業員を雇用する使用者が義務を負う。

達成方法

1.雇用義務対象者を直接雇用する。

2.障害者の作業所に仕事を委託した場合、契約額の50%を納付金から控除できる。

ペナルティ:
実雇用率 3~5%  不足人数×105ユーロ
被用者数 2~3%  不足人数×180ユーロ
被用者数 0~2%  不足人数×260ユーロ

イギリス

雇用義務制度

1944年に制定された「障害者(雇用)法」により、被用者数20人以上の使用者につ
いて、雇用率3%とする雇用率制度が実施されていたが、1995年障害者差別禁止法
の施行に伴い廃止された。

差別禁止法と雇用率制度とは併存が可能な制度であると考えられていたが、雇用率の達成が努力義務に過ぎず、
未達成企業にペナルティとなる制度が存在していなかったことや障害者登録制度が十分機能していなかったこと等ほとんど有効性を有していなかったことが雇用率制度廃止の理由とされている。

アメリカ

アメリカでは、雇用義務制度は好ましいものではないとの考えの下、一貫して雇用
義務制度は導入されてこなかった。しかし、近年、この状況に大きな変化がみられ
ている。連邦政府と1万ドル以上の契約を締結する民間企業に対し、障害者を7%雇
用するように目標を設定した。
(※ただし、努力目標)

諸外国の制度の特徴

制度

・伝統的に実施してきた雇用義務制度に加え、新たに雇用差別禁止法を導入し両者
 を併存させている国
 …フランス、ドイツ、日本

・雇用差別禁止法を中心とする国
 …イギリス、アメリカ

【雇用義務制度の対象】
・医学モデルに基づく障害者判定を行っており、労働能力の減退が判断要素の中心
とはされていない 
 …日本

・機能障害によって「労働力が減退しているかどうか」 
 …フランス、ドイツ

・障害の社会モデルに即した障害者の定義が用いられており、機能障害が労働能力
の減退に影響している場合だけでなく、労働以外の社会生活を制限する場合
 …アメリカ

雇用率

フランス6%、ドイツ5%、日本2.3%、(アメリカ7%)
※ただし、障がいの範囲や達成方法が異なる
・直接雇用が原則…日本(およびアメリカ)
・福祉的就労事業所への仕事発注によっても雇用率のカウントを認めている
 …フランス、ドイツ

【納付金】

・金額が一定…日本
・従業員に応じた負担や制裁的な負担…フランス
・雇用義務の未達成率に応じて段階的な負担を設定する…ドイツ
 
(出典:長谷川珠子著『障害者雇用と合理的配慮-日米の比較方法研究』)

障害者雇用対策を見直す必要性

ここまで諸外国の障害者雇用の取り組みを見てきましたが、諸外国の歴史や背景に伴い体制に違いがあります。
ただ、障害者雇用についてどの国も関心が高まってきており、日本においても同様です。

また、今後も法定雇用率の引き上げは継続されると思われ、従来からの「5年に1度の見直し」と同じスパンで考えると、最短で2023年、つまり2年後には再び法定雇用率が引き上げられると思われます。

引き続き採用が必要な企業はもちろん、現在は法定雇用率を達成している企業においても、これまでとは違う取り組みの検討が必ず必要になると思われます。

お困りごとがあれば、ぜひお気軽に当社までお問合せください。
必ずお役に立てる提案をさせていただきます。

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