お役立ちコラム
法定雇用率引き上げのポイント【2.2%から2.3%へ】
法定雇用率とは
企業などが「障がい者」の方をどのくらいの割合で雇うべきかを定めた基準のことです。
法定雇用率の達成は義務です(「障がい者雇用促進法」)。
背景には「採用の自由」が関係しています。
日本の憲法では全ての人々に「職業選択の自由」が認められています。
雇用主にも同じように、採用方針・採用基準・採否の決定などの「採用の自由」が認められています。
「採用の自由」の下では、「誰を」「どのような条件」で雇うかは企業が任意で決めることができます。
しかし、企業が採用の自由ばかりを追求すると、障がい者の希望が受け入れられなくなる可能性があります。
そうした事態を防ぎ、障がい者の「雇用の権利」を保証する方法として、この法定雇用率が導入されました。
どれくらい引き上げられたの?
2021年4月から、2.2%から2.3%に引き上げられました。
見直し後の法定雇用率は、厚生労働省のHPで公表されます。
参考:
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13025.html
どれぐらいの頻度で変わる?
雇用されている労働者や障がい者の総数は、毎年一定ではありません。
その変化に対応するため、障がい者雇用促進法では「少なくとも5年に1度は法定雇用率を見直すこと」が定められています。
法定雇用率は1960年に企業への努力義務として導入され、1976年に義務化されて以降、何度か見直されてきました。
義務化された当初、法定雇用率は1.57%でした。
その後、1988年に1.6%、1998年に1.8%と段階的に上昇。
2018年4月からは精神障がい者も雇用義務の対象になることが決まりました。
2021年3月からは、
・国・地方公共団体など 2.6%
・都道府県などの教育委員会 2.5%
に変更されました。
どの業種でも一定?
職種によっては、障がい者の雇用が難しい場合もあります。
「障がい者の就業が一般的に困難であると認められる業種」については、法定雇用率を算出する際に計算から除外できる「除外率制度」が設けられました。
2019年現在の除外率の例は、以下の通りです。
※あくまでも経過措置のため、今後なくなることを前提にご覧ください
- ●非鉄金属製造業
- ●倉庫業
- ●船舶製造・修理業、船用機関製造業
- ●航空運輸業
- ●国内電気通信業
- ●幼稚園
- ●幼保連携型認定こども園
●船員等による船舶運航等の事業
たとえば、常用雇用労働者が1,000人の企業で比較すると、
除外率が0%の企業の障がい者雇用義務数は1,000人×2.2%で22人になるのに対し、
除外率20%の企業の場合には(1,000 人-200人)×2.2%で17人になります。
参照:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/4-1-2_5.pdf
その他にも行政機関から受託したデータ入力やデータ集計業務なども履行し、グループ会社外からも収益を上げています。
障がい者社員一人ひとりが、会社の「戦力」として活躍しています。
具体的に何から始めればいいの?
法定雇用率の引き上げ、除外率の引き下げ・廃止を考えると、採用スキーム、環境整備、配慮対応できる組織づくりなど、障がい者雇用におけるしっかりとした準備は今後さらに必要です。
まずは障がい者雇用の成功事例から、できそうなことを見つけるのが良いでしょう。
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