お役立ちコラム
企業にとっての「合理的配慮」とは?
合理的配慮とは、教科書的にいえば、
障がいのあるなしに関わらず等しく人権を享受し行使できるように調整することです。
一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更を意味します。
では企業、組織として具体的にどう配慮すれば良いでしょうか?
今回は、
・ 働く場面における合理的配慮の具体例
を中心にご紹介します。
「配慮=してもらうもの or してあげるもの」ではない!
合理的配慮は、一人ひとりに合わせて行うため、本人と周囲の環境によってさまざまなかたちがあります。
そのため、配慮を必要とする本人の意思表示や、確認するための対話・合意形成が重要です。
「配慮」というと、「してもらうもの」「してあげるもの」というニュアンスを感じる人もいるかもしれませんが、「調整・便宜」という意味合いもあります。
障害のある方と周りの方々が、「お互いにとって」過ごしやすい環境を作るにはどうすれば良いか?という視点をもつと良いでしょう。
以下の4つのポイントを意識しながら、合理的配慮を実施することが大切です
- ① 本人や保護者・支援者から、必要な配慮に関する意思表明をする
- ② 企業がどんな配慮ができるか検討し、本人と話し合う
- ③ どんな場面でどんな配慮ができるかお互いに合意したうえで実施する
- ④ 配慮を実施したあとも、定期的にその内容や程度について見直し・改善をする
基本的には、合理的配慮はそれを必要とする本人からの申し出(意思表明)を起点に検討・実施されることが通常です。
障害のなかには、目には見えにくい障害もあり、本人のプライバシー保護の観点からも、企業から本人に対して積極的に障害の有無を尋ねることに対しては慎重になるべきでしょう。
合理的配慮の具体例
では、具体的にどんなものがあるのでしょうか?
●身体障がい者(肢体不自由)に対し、机の高さを調節するといった作業を可能にする工夫を行うこと
●知的障がい者に対し、図を活用した業務マニュアルを作成したり、業務指示は内容を明確にしてひとつずつ行ったりするなど、 作業手順を分かりやすく示すこと
●精神障がい者に対し、出退勤時刻・休暇・休憩に関して通院・体調に配慮すること
その他の合理的配慮の具体的事例については、厚生労働省の「合理的配慮指針事例集」や内閣府の「合理的配慮等具体例データ集」も参考にしてみてください。
厚生労働省「合理的配慮指針事例集」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000093954.pdf
内閣府「合理的配慮等具体例データ集」
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/
リスク管理の観点から採用時の面接で聞いてみる
合理的配慮について話をする機会としては、採用面接時に確認することが多いでしょう。
しかし、障がい者本人に合理的配慮についての知識があり、企業へ伝える準備ができている場合ばかりではありません。
そのようなケースも想定し、企業側は面接の時に質問を通して障がい特性や状況等を把握することもできます。
例えば…
・ 就業時間・休暇等の労働条件面での配慮を望んでいるか
・ 職場内でどのような職務内容の配慮・工夫があると仕事がしやすいか
・ 今までコミュニケーションを取るときにどのような方法で行ってきたのか、どのような方法だと取りやすいのか
・ 外部の支援機関などとの連携は就労後どのように考えているのか
合理的配慮は本人から申し出る場面が多いですが、採用時には特に希望がなくても、働き始めてみると要望が出てくるケースもあります。
採用時の面接で、本人から申し出がない場合でも「希望を聞く」というスタンスでヒアリング・確認することは、 企業のリスク管理としての意義もあります。
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障がいをおもちの方が働きやすい職場にするためには、本人と企業がお互いにコミュニケーションを取ることが必要です。
良かれと思っての行動も、一方的でかえって逆効果になることもあります。本人と話し合いながら、意向をよく汲み取って進めましょう。
障がいをおもちの方が就職される際、
・どのような合理的配慮が必要か
・どんな実施が可能か
など判断に迷うような場合は、ぜひお気軽に綜合キャリアトラストへご相談ください。
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